水風船に映る夏

遠くから響く和太鼓の音と、屋台から漂う香ばしいソースの匂い。夏の夜気を震わせるお祭りの喧騒の中に、私たちはいた。「すごい人だね、はぐれちゃいそう」 浴衣の裾を気にしながら歩く彼女――凛(りん)が、困ったように眉を下げて振り返る。 いつもは見慣れた学校の制服姿とは違い、今夜の彼女は白地に鮮やかな青い花が咲いた浴衣を身にまとっていた。まとめられた紫がかった髪から覗くうなじが、露店の灯りに照らされて、い
ヨーヨー釣り
公開日 2026/08/05

遠くから響く和太鼓の音と、屋台から漂う香ばしいソースの匂い。夏の夜気を震わせるお祭りの喧騒の中に、私たちはいた。「すごい人だね、はぐれちゃいそう」 浴衣の裾を気にしながら歩く彼女――凛(りん)が、困ったように眉を下げて振り返る。 いつもは見慣れた学校の制服姿とは違い、今夜の彼女は白地に鮮やかな青い花が咲いた浴衣を身にまとっていた。まとめられた紫がかった髪から覗くうなじが、露店の灯りに照らされて、い
ヨーヨー釣り
公開日 2026/08/05